広島県尾道市周辺の石仏

 

1.竜王山石仏群 尾道市日比崎町26 

 

 尾道市の中心部を外れた西部に竜王山がある。日比崎中学校までの途中は細い住宅街の道で車のすれ違いに苦労した。中学校の東側の小道、突き当りのひとつ手前を右に入る。竜王山は古くから山城があったと伝えられ、四国の石槌山を信仰する修験場で石槌権現を祀っている。途中に石柱が二本あり道案内をする。約15分で最初の石仏群があり、その先にたくさんの石仏が並んでいる。写真は石槌蔵王権現で、像容を異にする五基がある。

 


 

 ほかに弘法大師像 二基、五大明王、天狗 三基、善光寺三尊、霊場観音群などバライティ豊富な石仏群に出合い興奮する。写真の不動三十六童子は高さ30cm駒型で、それぞれに尊名が刻まれている。明治三十年酉六月十八日(1897)尾道石工 角田大平作の銘がある。尾道中心部の古寺とは離れあまり注目されてないが、石仏ファンには隠れた穴場といえる。

 


 

2.因島公園 尾道市因島土生町 

 

 国立公園特別地域に指定され瀬戸内海の景観が素晴らしい。千本の桜が植えられ、水軍記念碑、林芙美子文学碑などがある。鯖大師の伝説が伝わる大師堂には正面依大きな青銅製の鯖大師像があり、入口に大正三年造立の石造仁王一対と四国八十八所石仏が広場に並んでいる。すべて村井才吉という個人の寄進によったものである。20番鶴林寺の鶴や9番法輪寺の涅槃釈迦などゆっくり拝見した。

 


 

3.地蔵鼻 尾道市因島地蔵鼻 

 

 因島の南東部に小さな半島のように突き出したところが地蔵鼻である。海岸の砂浜に4mくらいの球形の大岩があり地蔵坐像が浅浮彫されている。因島村上水軍に捕らえられた娘の霊を供養するため彫られたといわれる。錫杖と宝珠を持ち優しいお顔で海を見つめている。今では「鼻の地蔵さん」と慕われ子授け、安産、厄除けなど女性の願いを叶えてくれるという。像の両側に銘文があり慶長四年(1599)の建立。

 


 

4.白滝山石仏群 尾道市因島重井町1233 

 

 因島の北に位置する白滝山は標高227m。表参道駐車場から30分くらいで頂上に着く。村上水軍の六代目、村上新蔵人吉充が重井町青木に青木城を建立した際、白滝山山頂に観音堂を建立したと伝えられ、文政十年(1827)柏原伝六とその弟子たちによって尾道の石工太兵衛を中心に十人ばかりの石工を招き五百羅漢が造られた。全山で640体の石仏は花崗岩製で阿弥陀三尊、四国八十八箇所本尊、釈迦三尊、四天王、十六羅漢などがある。

 

 

 頂上からは瀬戸内海の多島美が眼下に広がり、その眺めは素晴らしく石仏群とのコラボは見栄えがする。この景観を歌人の吉井勇が「白滝山に登れば眼地広し 島あれば海 海あれば島」と詠んでいる。写真は観音堂横にある天狗と烏天狗である。石工頭「太兵衛」銘のある斬新なデザインの不動明王磨崖仏や笑い顔の羅漢など心に残る石仏に出会えます。

 


 

5.龍泉寺 三原市小泉町4543 

 

 小泉小学校横から車で登れる細い道があり、龍泉寺手前の駐車場に辿りつける。徒歩で15分、龍泉寺の左から登ると白滝山がある。標高350mで瀬戸内海を一望できる見晴らしは素晴らしい。北面する八畳岩と呼ばれる巨大な花崗岩の露頭があり、磨崖仏が彫られている。向かって左が釈迦三尊で、各々瑞雲に乗り、中尊の釈迦は坐像で円光背を背負う。脇侍の阿難、迦葉は立像で、三尊の下に横に長く輪郭をとり銘文がある。施主名であるが紀年銘はない。しかし施主名から江戸初期の建立と考えられる。

 


 

 釈迦三尊の右に十六善神が等身大で半肉彫されている。十六善神は磨崖仏としては非常に珍しく玄奘三蔵と深沙大将を取り囲むように彫られている。深沙大将は玄奘三蔵が旅の途中砂漠で一滴の水を得ることができず息絶えようとしている時、流砂の中から現れて護ったとされる護法神。『西遊記』ではカッパの紗悟浄とされている。十六善神は正面から右へ三面に刻まれている。