川崎市多摩区南部の石仏

 

1観音寺 川崎市多摩区生田7-17-8 

 

 小田急線の生田駅北口で下車し津久井道にあるコンビニの北に山門が見える。真言宗のお寺で山伏萬休が当地に福聚院という草庵を建てたことに始まるという。境内に宝暦四年(1754)の立派な宝篋印塔が安置されている。左の墓地に通じるところに三界萬霊塔があり、無縁塔群の前列に舟型の地蔵立像が二基ある。向かって左側は「奉造立庚申供養二世安楽攸」「元禄七戌二月七日」(1694)とあり下部に三猿が浮彫された庚申塔である。右も同じ地蔵庚申だが紀年銘が正徳五年(1716)で、無縁塔に並んでいるため見落してしまいそう。

 

 

 


 

2.交通安全地蔵尊 川崎市多摩区枡形5-18-1 

 

 観音寺から県道3号線津久井道を東へ1100m根岸陸橋を渡った西の角に石仏がある。道路の改修などでここに集められたようだ。平成元年に建立された交通安全地蔵が立っており、その奥に新旧合わせた六地蔵が小屋に納まっている。その横に写真の三面馬頭観音と青面金剛が並ぶ。庚申塔は元禄五申十一月(1692)銘だが馬頭は紀年銘を確認できず。なおここを右に100mほど行くと寛政八年(1796)駒型の弁才天坐像があり、今でも巳待講をやっているそうです。

 


 

3.広福寺 川崎市多摩区枡形6-7-1 

 

 根岸陸橋下の五反田川沿いを東に500m行くと右に小田急の踏切があるその先が広福寺。平安時代初期に開かれ、鎌倉期に稲毛三郎重成が中興をしたとされる。本尊の木像聖観音と地蔵は県指定。参道右にこの阿弥陀如来がある。銘は「奉造立弥陀真相□供養 同行男廿八人 女廿七人 長沢村 元禄十三庚辰天十月吉辰」(1700)舟型の上部が少し欠けているが銘文ははっきりしている。境内と本堂周辺に石仏や墓塔がたくさん並べられている。鐘楼の脇にあった舟型の聖観音立像は「奉造作正観自在尊」とあり寛文二年(1662)の紀年銘がある。

 


 

4.日本民家園 川崎市多摩区枡形7-1-1 

 

 川崎市立で消滅しつつある古民家を将来に残す目的で昭和42年に開園した。古民家だけでなく水車小屋、船頭小屋、農村歌舞伎舞台など20数件の建物がある。園路のあちこちに寄贈されたのでしょうか道祖神、庚申塔、馬頭観音などの石造物が展示されている。写真の絵馬型一石六地蔵は甲州市塩山上萩原にあったと説明板がある。

 

珍しいのは無縫塔型の屋敷神石塔で長野県佐久穂町の旧佐々木家前にあったもので「奉造立屋敷地霊守護所 宝永三丙戌年七月吉日」(1706)とある。

 


 

5.龍安寺 川崎市多摩区宿河原2-44-17 

 

 民家園前のバス通りを北東に行き稲生橋交差点を右折400m先のコンビニ裏に龍安寺がある。山門の前にこの三基の石仏が並んでいる。向かって右の舟型三猿塔は摩滅していて文字が読めないが資料によると「奉造立庚申供養之事」「寛文九己酉天二月十四日」(1669)とある。中央の地蔵は「奉建立念佛供養為二世安楽」銘で紀年銘は三猿庚申塔とまったく同じ寛文二年で念佛講中が一緒に造立したと考えられる。左の青面金剛は合掌六臂で年銘記載のところが欠損していて不明。なお墓地入口に丸彫の地蔵坐像は、台石の角柱が三面に二体づつ地蔵を彫った六地蔵になっており文化九年(1812)の紀年銘がある。

 


 

6.長福寺 川崎市多摩区宿河原2-36 

 

 龍安寺の東300mに長福寺がある。山門を入るとすぐ左にある合掌六臂の青面金剛は邪鬼、三猿、二鶏で元禄六年(1693)の建立。その並びには墓塔の地蔵や聖観音が数基ある。本堂前に山伏型角柱で愛染明王坐像を浮彫しており珍しい。嘉永四辛亥二月吉日(1851)銘。他には単制六地蔵石幢は弘化二乙巳年七月四日(1845)で彫も良い。天保八年(1837)の徳本名号塔と並んでいる。

 


 

7.中宿地蔵尊 川崎市多摩区宿河原6-7 

 

 県道9号線の府中街道に戻り東へ1km行くと東名高速に突き当たるが、その手前左の川沿いに小さい祠がある。大きな涎かけを架けられた地蔵が二体安置されている。その道路向かいに笠付角柱で坐像の三面馬頭観音がある。怒髪が天に届くほど高く大きく翻っている。明治九子年十二月建之(1876)とある。ここからJR南武線久地駅まで約500m。