東京都板橋区北東部の石仏

1.長徳寺 板橋区大原町

 地下鉄都営三田線の志村坂上駅下車、南へ約600mにある。真言宗豊山派で本尊は不動明王。昭和204月の戦災で堂宇などは焼失し、昭和38年に再建された。石仏はたくさんあり、山門を入った右に宝篋印塔、庚申塔、善光寺如来、如意輪観音、馬頭観音などが二列に並んでいる。ここで特に注目したいのは舟型で馬頭観音主尊の庚申塔である。正面の宝馬を頭上に刻む馬頭観音は八臂で二鶏、三猿があり、主尊の左右に「奉造立馬頭明王庚申講 為二世安楽也」とあり、宝永七年(1710)の紀年銘。顔が摩滅し浅浮彫でぱっとしないが貴重な庚申塔である。またこの並びに小ぶりな舟型の馬頭観音は天保十一年銘(1840)で彫が良い。

 

 

 


 

 本堂正面前にもうひとブロック石仏がかたまって並ぶ。2番目にある笠付角柱の辨才天は目を見張る。碑の上部に「奉納 辨才天」とあり、下部に琵琶を奏でる辨才天が彫刻してある。左足を立膝し琵琶を支え、天衣が翻って魅力的。文化二乙丑歳三月吉日銘(1805)で左面に世話人四名の名が記されている。隣の大日如来坐像、地蔵なども江戸期の造立。長徳寺を右に出て高速5号池袋線を潜り、最初の小路を右折、約350mで右に東熊野神社の参道が見える。

 


2.東熊野神社 板橋区前野町3-38

 

 ここは紀伊国熊野那智大社より勧請された旧前野村の鎮守。祭神は伊佐那岐命、伊佐那美命。本殿前左の玉垣に沿って庚申塔が五基並んでいる。少し風化が進んでいるが、うち三基は道標を兼ねている。また左端の邪鬼は右手で頬を支えた格好が面白く、また右端は青面金剛の両足が邪鬼の頭に乗っている。左から二番目は「右ハ 江戸道 南ハぞう志がやかいどう 川越道 川口ぜんこうじ」とあり、このあたりが交通の要衝だったことを表している。東熊野神社を右に出ると445号線の交差点がる、これを右折し300mの見次公園前を左折、次の信号を右折し、坂を上がると見次公園裏の信号を左折すると左に延命寺がある。

 

 

 


 

3.延命寺 板橋区志村1-21 

 

 真言宗豊山派で本尊は地蔵菩薩。参道入口に六地蔵や墓塔らしい小石仏が並んでいる。その先に板碑が多数並んでこの中で建長四年(1252)造立は区内で最も古く区指定文化財である。

 

 もうひとつ立派な小屋の中に両手で薬壷を持ち蓮華座に坐す薬師如来は保存状態が良い。下部に「庚申待結衆敬白」と庚申塔でもあり珍しい、江戸初期の正保四年(1647)銘。また石祠内に三尊(阿弥陀、弥勒、如意輪)の入ったものなどもあった。延命寺から先に進み2つ目の信号、角にサイゼリアがある志村2丁目を右に行きすぐの路地を左折すると延命寺地蔵堂がある。

 


 

4.延命寺地蔵堂 板橋区志村2-5-9

 

 ここは門が閉まっていることがあるらしいが、私が行った時は開いていた。入るとすぐ正面に歴代住職墓などの一角がある。正面、一段と高い石積みの上に弘法大師坐像とその前に邪鬼。左側には隅丸型の十三仏が並んでいる。「十三佛建立三界萬霊有縁無縁為菩提也」とある享和二年(1802)銘。右側に笠付角柱の十王塔と閻魔が並ぶ。十王塔は四面に十王、奪衣婆、業の秤、浄玻璃の鏡などが彫刻されており見応えがある。紀年銘は「文化四卯年七月吉祥日」(1807)など中身の濃い石仏に巡り会える。志村城山通りまで戻り東へ行く、国道17号線をなおも直進、約600mで左に龍福寺霊園が見えたら次の信号を左折すると左に龍福寺がある。

 

 

 


 

5.龍福寺 板橋区小豆沢4-16 

 

 入口左の小堂内の扉を開けると不動明王が安置されている。その先に覆屋の下に三基の板碑がある。中央の一番大きな板碑は阿弥陀三尊種子で建長七年造立の区内で2番目に古い。ここにはかつて20数基の板碑があり板碑寺といわれたそうです。境内には石塔をピラミッド状に積み重ね最上部に大日如来が坐している。その周囲には墓塔などもあるが庚申塔が十基ほどある。江戸前期の万治から中期にかけての青面金剛が多い。

 

 龍福寺を北に行くと急な下り坂になり下りたところを道なりに右へ行く約1キロの途中左に袋小学校があり、その先が諏訪神社。

 

 

 


 

6.諏訪神社 北区赤羽台4-19 

 

 境内に石坂供養塔、大乗妙典供養塔、青面金剛などが並んでいるが、道路を挟んだ向かい側の参道の道路側にも庚申塔四基と光明真言塔がある。この庚申塔群は「袋村の庚申待供養塔群」とある説明板があり北区指定文化財である。元禄十六年(1703)から天明五年(1785)にかけて造立されたものである。

 

 諏訪神社前信号の大きな道を南東へ約1キロ赤羽台団地でJR赤羽駅に最も近いあたりの左側に小屋があり、猿田彦神の提灯がかかっている。

 


 

7.猿田彦神社 北区赤羽台1-4  

 

 中央の二基は駒型の青面金剛で等身大と大きな像容である。どちらも享保年間の建立で似ているが右側は剣人型だが左側は剣の代わりに鈴を持っている。石仏の前に線香立と赤い毛氈を敷いたうえに供花やお神酒が並び写真が撮り難かった。ここからJR赤羽駅はすぐの距離である。